難波客員研究員・佐藤チームリーダー・下川テクニカルスタッフらの論文がScientific Reportsに採択されました

難波修史客員研究員、佐藤弥チームリーダー、下川テクニカルスタッフ(心理プロセス研究チーム)らの共同研究グループは、感情次元(感情が快不快と活性度の2次元で説明できるとする理論)に対応付けられ、さらに多角度と深度情報を備える表情動画のデータベースを開発しました。

これまでAI開発などのために、感情と対応付けられた表情のデータベースが公表されてきました。こうした表情データベースは、怒りや喜びといった感情カテゴリーと特定表情との対応を想定する理論に基づいていました。しかし、最近の心理学研究からは、感情カテゴリーと表情の関係は個人間や文化間でばらつきが大きく、快不快と活性度という感情次元と表情の関係の方がより普遍性を持ち得ることが指摘されてきました。

今回、共同研究グループは、日本人48人を対象として、快不快5段階×活性度5段階の計25パターンの出来事を記入してもらい、後で各出来事を思い出してその感情体験と対応する表情の表出を求めました。その際の表情を、カラーイメージ情報と3D情報を収集可能なAzure Kinectという装置10台で撮影し、多角度の画像および深度情報を計測しました。データを解析して感情次元と表情筋の関係を解析したところ、快不快に対応するパターン(不快で眉がしかめられ、快で口元が広がり上がるなど)が示されました。表情データベースは、学術目的で公開されます。またこのデータベースに基づいて、表情から快不快を連続的にセンシングするAIの開発を進めており、近く発表する予定です。

詳細は以下になります。

Namba, S., Sato, W., Namba, S., Nomiya, H., Shimokawa, K., & Osumi, M. (2023).
Development of the RIKEN database for dynamic facial expressions with multiple angles.
Scientific Reports, 13, 21785.

https://www.nature.com/articles/s41598-023-49209-8

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